『ある日の日常その6』

 

 

 

迫り来るゾンビ!ゾンビ!ゾンビ!

「とりゃーーー!!」

ドンドンドドドン!
そのゾンビ一体一体を、頭やら胴体を吹っ飛ばすことで撃退する少年。
6発の弾を使い切ると、手早く弾をリロードし、新たなゾンビを吹っ飛ばす。

『HELP ME〜!』

数体のゾンビに追われる人間が現れると、慌てることなく少年は銃をゾンビの方に構える。そして躊躇なくゾンビを撃った。もちろん、人には当たっていない。

『THANK YOU!』

そして救急箱を手渡される。
ライフポイントが1つ増えた。

「凄いね…」
「えっへっへ♪最初の頃はうっかり人の方撃っちゃってたんですけどね♪」

判別難しくって〜♪と笑う少年、デュナン家末っ子カナタは、それでも見事にゾンビを撃退していた。
そう、ここはゲームセンター。
周りにはシューティングやレーシングの機械が所狭しと並べられ、複雑に絡み合ったゲーム音が不快な程に鳴り響いている。
普段こういう場所とは縁遠いマクドール家の箱入りさんの1人であるカイルは、珍しそうに椅子に座ってゲーム画面や辺りを見回していた。(椅子はカナタが格闘ゲームの台から取ってきた。)

「もうすぐここのボスが出ますよ〜!」
「ボス?」

そう。カナタとカイルは、現在デート中だった。
何故こんなところでデートをしているかと言えば、

『カイルさーん!帰り道に奇遇ですね!デートしましょう!寄り道をーー!!』
『え、うん…じゃあ、ユーリグさんに遅くなるってメールしておくね』
『わーい!放課後デートですーー!!』

…という感じだ。
男子高校生らしく、ゲームセンターに寄り道デートという方向らしい。

 

「やっぱ1コインでラスボスまでは無理でしたねー!」
「あの白いの…本当に倒せるの?;」
「倒せますよ〜♪…ただ、お金がかかるだけで…;」

何をやっていたのかは不明だが、和気藹々と2人はシューティングゲームを後にしている。

「あ、カイルさん次はアレやりましょう♪」
「! 菌の…」

テッテッテッテテーテーテテ♪

「なかなかバランスが…!」
「でももうちょっと…っ;」

皆まで言わずとも知れた、UFOキャッチャーだ。
色とりどりの某ぬいぐるみを狙っている。

「あ!とれた…!」
「やりましたー!よーしっ巨大サイズもとりましょうっ!」
「どこに置くの!?;」

それでもカイルは、手の平サイズのそのぬいぐるみを貰って少々嬉しそうだ。
まあそんな感じで楽しく日は落ちていっていたのだが…

 

「たまにはこーゆー化学薬品臭い身体に悪い味を食べたくなるんですよね〜v」
「そうなの?(汗)」

主張はわからないものの、ファーストフード店でジャンクフードを頬張るカナタの姿は、年相応(以下)で、微笑ましく見える。
―――しかし、そこでふとカイルは気付いたことがある。

ユーリグさんからのメールの返事が返ってきていない。

いや、実際のところ確認する暇がなかったのだが…
そこでカイルは何気なく携帯を取り出して、開いた。

toユーリグさん
今日は帰りが遅くなります。
夕食も食べてから帰宅します。
fromカイル

「……………」

何故かカイルが送信しようとしていたメールの本文が、そこにあった。
送信エラーだ。

「………か、」
「か?」

更に調べてみると、メールや着信履歴が物凄いことになっていた。

「帰らなきゃ…!;」
「ええ!?僕何かしましたかー!?(泣)」
「え、そうじゃなくて…!;」
「うわーーーん!!愛の危機ですーーー!!(号泣)」
「だからカナタっ;そうじゃなくて…;」

あわわわわと、周りの視線を気にして慌てるカイルだった。
………家に戻ってからは、それ以上の騒ぎになったが。

 

 

 

後日。

「カイルさん〜♪今日はヒマですか〜♪僕とお出かけしませんかー?」
「暫くは、ダメ。」

バツ。

「………なっなんでですかーーーーー!!!???(泣)」
「ユーリグさんに心配かけちゃったから、落ち着くまではちょっと…;」
「カイルさーーーん!!ひょっとして僕よりユーリグさんが優先なんですかーーーー!!??(号泣)」

カナタの絶叫が高らかに響き渡ったという…。