『ある日の出来事〜クリスマス編〜』
「じんぐるべーじんぐるべー…すっずがぁ〜なるぅー…きょおはー…さみしいーくりすますー…」
ずどーんと凹みながら、少年は1人街中で沈み込んでいた。
クリスマスムードが漂い、恋人達が連れ添って歩く中、1人ベンチに座る少年…。
見ていてかなり寂しい光景だ。
ずびーと、寒さ以外の理由で溢れた鼻水を啜り上げ、カナタは呟く。「………まさか、クリスマスなのにカイルさん冬期講習でデートできないなんて…どんな運命の皮肉ですかー!(泣)」
朝から晩まで詰まった予定に、入り込む余地などなかった。
あまりのショックに、マッチでクリスマスツリーを燃やしてやろうかとも考えたが、さすがにそこまでは実行しなかった。せいぜいが「クリスマスなんて呪われろ!」と毒を吐く程度だ。「はあ…。…今年も例年どーり、ハズミさん作のケーキと普段の3割り増し豪華な料理を食べて終わりますかー…」
立ち上がり、「さみしいーくりーすーますー」と呪詛を吐きながら帰路に着く。
そして、辿り着いた我が家の前では―――カイルが立っていた。
帰ってきたカナタの姿に気付いたのか、小さく笑みを浮かべてこちらを向く。「あ、良かっ――」「カイルさーーーん!!!!」
「ひゃあっ!?;」うぎゃー!と感極まり、カナタは喜び泣きをしながら、飛びついた。
「カイルさん!僕の!僕の為に授業終わって帰宅したのに家の前で待っててくれたんですね!?」
「う、ん…;レン君からカナタが携帯も置いて家を飛び出したって聞いたから…;」
「うれ”じいですーーー!!(泣)クリスマスプレゼントとか!ツリーの下でちゅーとか色々計画してたんですよーーー!!」
「あの、カナタ…;」
「―――カナタ君、後半の方は特に却下させてもらうからね?」
…青筋を浮かべたユーリグさんやら、何事かと顔を出した両家の面々がそこにはいた。
「折角だから、みんなでクリスマスパーティーをすることになったんだけど…;」
「…そーですか…――――とりあえずカイルさんと過ごせるんならいいですーーー!!」
喜びの声を上げるカナタだったが、ユーリグさんからプレゼントには貴金属の類は禁止しますと宣言され、すぐに絶叫を上げる羽目になったという…。