『ある日の出来事〜節分編〜』

 

 

節分だ。

本日2月3日、ここデュナン家でも例に漏れず節分が行われようとしていた。
しかし、1年に1回のイベントとは言え、全員が小学校を卒業しているデュナン家では毎年そんなに盛り上がることは無かった。
…いや、常日頃から騒がしい為、特別に盛り上がるという感じではないという意味でだ。
まあせいぜいが、豆まきと称して力いっぱい豆をぶつけあったり恵方巻きに挑戦して喉を詰まらせて窒息しかける程度のことしか起きない。
つまり、イワシの頭までは飾らないものの、豆をまいて巻き寿司を食う程度のイベントだった。

 

「うーん…ないよりマシなんですけど、やっぱ節分の豆ってマズイですよね。」
「――撒く前に食ってんじゃないよ。ていうか、文句言うなら食うなッ!!」

せっかく人が炒ってんのに!とハズミ君。
その横で手伝いをしているように見せかけて、カナタが炒りたての豆をポリポリと食べている。
ちなみに、家で炒っている理由は、その方が安いからである!

「撒くよりは食べた方がお腹に溜まります!どうせうちなんて、『鬼も福も取って食う!』が家訓なんですから。」
「いやいやおかしいでしょ。それじゃ節分にならないし!しかもそんな家訓はうちにないしッ!」
「今決めました! つか、民俗学的には節分で追い払われる『鬼』の由来は、差別的なアレでイコール一般庶民だったんですし、僕ら庶民が豆で追い払っちゃおかしいですよ!ミステリ知識ですケド!!」
「はいはいはいはい。口が減らないってか…それ以上食うなー!!」
「ぎゃー!ハズミさんの虐待鬼ーーー!!豆ぶつけてやりますー!!(怒)」
「どの口でそんなこと言ってんだーーッ!!」

どったんばったんと、台所で乱闘騒ぎ。炒りかけの豆は、「あーもう、騒がしいなあ…;」とぼやきながらもレン君が引き継いだ。
そんな節分だ。

 

 

で。とにかく節分本番になった。

 

「撒くよりは食べたいんですけどね〜…って、ハッ!思い出しましたよリクさん!!」
「え?何カナタ?;」

多分ろくでもないことだ。

「いえ、カイルさんのおうちにどうやって自然に押しかけるかの作戦で、『節分にまぎれて鬼役で乱入!』を予定してたんですけどvリクさんはどうしますか?」
「ユーリグさんの所に!?もちろん行くよ!!」
「じゃあスペアの鬼衣装貸しますね!」

 

肌色の全身タイツに、
ビニール製の金棒、
頭に角、
そして、虎柄のパンツ。

 

「まごうことなく鬼ですね!」
「いや、そうだけどさ…カナタだけベージュ色の服(上下)と虎模様の腰巻っておかしくない?;」
「おかしくないです! 第二候補の衣装ってだけですよ!」
「えーそう?;」

騙されている。

「じゃあ行きますよー!!」
「おー!」

 

 

 

マクドール家。

 

鬼は外、福は内と節分という行事は行事として、楽しんでいた。

「庭には撒いたし、最後は玄関からですね」
「そうだな、」

家族でほのぼのとした空気の中玄関に揃い、ユーリグさんも笑顔で玄関を開ける。
―――が、その笑顔が空けた途端に凍りついた。

 

「ユーリグさんっ!こんばんはーvv」
「鬼はうちですー!」

 

「あ、カナタ」
「わ〜凄ーい!」
「うむ。間違いなく鬼だな」
「わぁ鬼の服……!」

鬼のコスプレをした変質者が2人並んでいたのだから、それはもう凍りつくだけではすまない。

「鬼はー外!!」
「あいたたたたたた!!;」
「ギャー!!;豆なのに石ぶつけられてるぐらいの痛みがーーーッッ!!;」

手加減無くぶつけられる豆の嵐に、正しく鬼は逃げ惑うこととなった。

 

 

(デュナン家は何か、「福は内はいいけど!鬼は外は程々に!!」というイメージがあります… 
家の中に撒いたのは拾って食べられますもんね。>笑 )