『ある日の日常その8』
夏だ!プールだ!水着だ!
…という、下心という名の欲望渦巻く夏の日。
学校指定の水着バックをぶら下げた少年が、マクドール家の玄関先に立っていた。
「カ〜〜イ〜〜ル〜〜さーーん!プール行きましょう〜〜〜!」
…その時カイルは、小学生時代を思い出したという…。
何故プールか?
それは、カナタが無料チケットを手に入れたからである。
それが真実かどうかはわからないが、カナタからの誘いにカイルはそこが屋内プールだったこともあり、首を縦に振ったのだ。「なんで急にプールだったの?」
「いえーなんか急に生肌…げふっ!;プールに行きたくなったんです〜♪」
「暑くなってきたからね…」ユーリグさんからくれぐれも!上着は脱がないようにと言い渡され、現在カイルはプールの中にいても上着は着たままだった。
しかし、半袖パーカーという(逆効果で性別不明になってしまっている…)いで立ちで、生腕と生足は見放題だ。
少年は内心ガッツポーズをとっている。
プールサイドに腰掛け、プールの中に足だけをつけてるカイルの姿に、カナタは満足気だ。
……………たとえ、自分が浮き輪の中にずっぽりと嵌まって水面を漂っていても。(水中でヘソチラとか起きませんかね…!)
「カナタ?;」怪しい気配に、カイルが少し引いている。
しかし、浮き輪のことを気にする気配は皆無だ。…カナタにベストマッチしていて、違和感を感じる隙間がないらしい。
まあそんな訳で、泳ぐよりも漂っているくらいの遊び方だったものの、カイルには異存はなかった。
ぼぅっとプールサイドに付けた足先を眺めて暫く。
涼しくて気持ちがいいなぁとカイルがふと視線を戻すと、「―――…」
カナタがいなくなっていた。
…正しくは、一瞬前まで居たはずの場所に、浮き輪だけが漂っている。「?」
中身がどこにいったのか…カイルは少し考えた。
「カナタ…?」
水中にじゃぼっと顔を付けると―――水底にカナタが沈んで漂っていた。
あまりのことに、ごぼっ;と空気が全部出る。「カナタ!?;」
慌ててカイルは少年を引き上げた………。
「し、死ぬかと思いました…!;」
「大丈夫…?;」ありがとうございます!と言いながらも、ゲホゲホ水を吐いているカナタは、正しく溺れた人間の図だ。
「……カナタ、泳げなかったの…?;」
「う”っ!;」ビシリとカナタは固まった。
さすがにバレる。「そ、そういうわけであるようなないような…!;」
「………;」
「…お、泳げません;ていうか、浮きません…っ!;」観念した少年はハッキリと白状した。
「…………泳ぐ練習、する?」
「…………そうですね…;」特に何も言われず、優しくそう提案されたカナタは、orzのポーズで凹んだ。
しかし、泳げないのに何故プールに来たのか、そう尋ねたなら正直に「カイルさんの素肌が見たかったんです!」と吐いたかも知れない…。
「カナタ、大丈夫だからっ…;」
「ぶはっぶへっ!!ぷは〜〜!!;」その後、いくら練習しようとも、絶対にカナタ沈み続けた…。(カイルは人体の摩訶不思議さを知ったという…)
「ぶはっ;(ハッ…!でも何気に生腕触り放題っ…!)」
「もう止める…?;」
「まだまだですーーー!!」
…とにかく、楽しくプールで遊んだというのは間違ってはいない、一日だった。