『ある日の日常〜その9〜』
初老の教授が講義を行う声と、ノートを取る音が満ちる教室。
カイルも、要点をまとめつつノートを書き込んでいた。夏季集中講座、世間では夏休みである時期にカイルは講義を受けている。
一日中というのは、さすがに疲労がつもるものの、苦痛を感じるわけでもない。
カイルはマイペースに勉学にいそしんでいた。(カイル、カイル…)
(?)そんな中、ふとクラスの友人から声をかけられた。ついでに、つんつんと肩もつつかれる。
(あの子、知り合い?)
(あの子…?)首を傾げて、友人の示す方へ視線を向けた。
『カ・イ・ル・さ〜ん♪♪』
…満面の笑顔で、両手を振っているカナタの姿があった。
「!!!!!?;」
「あ、やっぱり知り合いだったんだ」なんでここに!?と、友人のマイペースな声を聞きながら、カイルは混乱した。
「カイルさんとデート出来ないのはともかく、一緒に居られないのが辛いと思ってつい来ちゃいました〜vv」
「無茶しないで…;」なんとかその授業の間を乗り切り(昼休み直前の授業だった)、カイルはベンチにくったりと脱力していた。精神的に疲労したのだ。
「そう言えば、さっきの人友達ですか?いい人ですね〜♪」
「………;」気を利かせて2人にしてくれた人物に、カナタはそう評価を下していた。…全く悪びれた様子もない。
「というか、実は一限目から来てたんですけど、間違って他の学部の授業に紛れ込んじゃってましたよ〜♪大学って授業面白いですねーv」
「よかったね?;」更にはそんなことを白状した少年に、どっと疲れるカイルだ。
…むしろ、この広い構内で、カイルを探し当てた執念が恐ろしい。「僕もここ目指す決心がつきました!」
「え!?;」
「学部は違いますけど!」
「…あ、うん。;」思わず納得してしまい、爆弾発言への驚愕もどこかへ飛んでしまう。(カイルは教育学部だ)
「外国みたいに飛び級出来たら、もっと一緒にいられるんですけどね〜」
「……………」拗ねたようにそう言うカナタに、カイルは曖昧に微笑んだ。
「…ゆっくりでいいからね?;」
「! はいっvvv」色々な意味をこめてカイルはそう言った。
………気持ちの半分は、本気で飛び級してくるかもしれないという不安からだったりする。
が。しかし。
「今日は一日カイルさんと一緒にいますよ〜!」
「あれ?その子、午後からも出るの?」
「カナタ!;もう講義が始まるから静かにして…!;」午後からも堂々と講義に出席され、カイルはとても疲れる羽目になった。
結局、カイルの疲労が原因でこの件はユーリグさんにバレ、以降の無断進入はなくなったという…。
(ちなみにカイルさんのお友達はアトリたんですv>笑)