『ある日の日常〜ホワイトデー編〜』


コロン、カラン、コロコロ、カラン。―――きゅぽん!

「…出来ましたー!」

ばーん!とカナタは、瓶詰めキャンディを片手に叫んだ。
中には色とりどり…もとい、カラフルなピンクのハートのみがぎっしりと詰まっていた。…手加減せずに詰めている感じが、可愛らしさと重苦しい愛情表現のギリギリな線をついている…。

「出来たんだ…あれ?一色だけ?」
「フフッ…僕の思いをコレでもかー!と詰めた感じですからね…!でも、味はモモに杏にすももにラズベリー!さくらんぼやザクロ!色々ありますよー!」
「ロシアンルーレット!?;」
「つかそこまでする意味がわかんねー!フツーでいいじゃん。」
「愛ですよ愛!しかも手作りにゃんストラップ付きです!―――あ。余った材料は台所で使ってください。」
「あ、それは助かる。」
「手作りっ!?;」
「ちゃんと可愛いやつ作りましたよ!ちなみに最近のネット店でのハヤリ筋はこんな感じのキモ可愛い品ですけどね!」
「まさかそれが収入源なの!?」

黒猫がついたストラップを振り回すカナタと、ちょうど暇だったらしい兄弟らの会話が渾然とし、狭い室内は誰が何を喋っているのかもわからない状況になっていたりした。…まあいつものことだったが。
とにかく。
この日、カナタはカイルへのお返しを完成させていたのだ。

 

 

* * *

 

 

普段となんら変わりない様子で、カイルは学校から帰宅していた。
…しかし、そんな時だ。

「………ッ!!」

物陰から現れた人影が、カイルをその中へ引きずり込んだ!

 

 

* * *

 

 

「カイルさんカイルさ〜ん♪これ、バレンタインデーのお返しです♪」
「わあ、ありがとう…v」

可愛く揺れるにゃんストラップに、カイルの目は釘付けだ。
可愛いものが好きなカイルは、平常ではありえないくらいに語尾が跳ねていたりする。
アメについては…まあ、深く考えずに普通に受け取っている。

「…でも、なんでこんな物陰に隠れて…?;」
「それは言わぬが花です!」

ふとカイルが思い出したように言う。
そう。学校帰りのカイルを、カナタは拉致同然に物陰へ引きずり込んだのだ。
思わずカイルも、相手を殴り飛ばそうとしてしまった程の犯罪さだ。

「それより!せっかくホワイトデーですからこのまま公園でも行きませんか?」
「え?(ホワイトデーだからって言うのがよくわからないけど;)いいよ、」
「わ〜♪デートです!デート!!」

るんるん♪と少年はめぼしをつけていた公園に向かったが…

――――しかし、この後…(公共機関に乗車中のマクドールさんに目撃されていた為)マクドール家恐怖の誘拐事件が発生し、あわや警察沙汰になる所だったという…。