SSその11

 

in学校。

「うーん。マズイですね〜…」
「何?どうしたの?」

むーん!とカナタが教室の窓側の隅で悩んでいると、興味なさそうながらも友人の女生徒が声をかけてきた。

「それがですね〜あれです!」
「…不良が並んでるね。」

びしっとカナタが指差した校門前には、ズラリと一昔前の不良が並んでいた。かなり下校の邪魔になっている。

「僕目当てです!」
「何とかすればいいじゃない;」
「今日は予定カッコデートvカッコとじる♪があるんで面倒です!!」
「…サイテー。」
「ふっふっふ…!因縁をつけられたその原因すらも!急いでた時に、思いっきり相手の顔面を踏破突破してそのまま放置!相手をきゃいん!と言わし損なったが故生まれた悲劇です!!」
「訳わかんないけど…いっそ清々しいね!」
「そこで!―――演劇部からカツラは借りてきたんで、コート貸して下さい。」

 

 

ロングのカツラと、女生徒指定コート(下学校指定短パン)という、プライドを捨てた格好で手早く突破したカナタは、ふと思った。

(…あ。そう言えば、リクさんとか他の兄弟、まだ学校残ってますから間違えられてエライ事になるような?………まあいっか!!)

カイルとデートという大儀の前に、兄弟愛も何もなかった。

 

…その姿を、マクドール家の兄弟に目撃され、ぎゃふん!と泣く羽目になるのは、また別の話…。

 

 

SSその12

 

カイルにも悪癖というものはある。

ふに。
ふに。
ふに。

…ふに。
ふに、
ふに。

ふにふにふにふにふにふにふに!………なぁ〜ん。

「…カイルさん、ちょっと揉み過ぎじゃないですかー!?;(つか構うなら僕を構ってください!)」
「あっ…つい;」

膝に乗ったマオ嬢の肉球をぷにぷにvと触り続けるカイルに、マオ嬢から肉球パンチを贈られた。

 

(肉球パンチ:家猫のぷにぷにした肉球がほっぺたに当てられる技。
  効能:当たった者はあまりの可愛さにメロメロになる。
  副作用:その光景を見ていた下心を持つ者がムラムラする。 )

 

 

SSその13

 

マクドール家のアルバムを見てみたり…

「ギャーーvvv!!可愛いですねー!!この写真下さい♪」
「え!?;」

マクドール家兄弟の幼児時代の姿が映る写真、それも5、6歳くらいのカイルがクマのぬいぐるみを抱えているものを持って、カナタは奇声を上げている。

「でもホント可愛いですよ〜♪カイルさんだと思うとなおさら!」
「そう…?;」
「僕とカイルさんが結婚したら!きっとこんな可愛い子が出来ますよね!」
「う…」

―――?

「生めないから!!;」
「大丈夫です!成せばなんでも成るもんです!!」

無理です。

 

 

SSその14

 

ゲーマーではないものの、カナタは健全な男子学生並にはゲームをしていたりする。

 

「カナタ〜今何してるの?」
「ん〜今はポ●モンです〜」
「へー見ていい?」

と言って、リク君がDSの画面を覗き込むと…

「…ちょっ何でマクドールさん達の名前がイーブイに付いてるの!?しかもユーリグさんまで!!」
「いーじゃないですか!可愛いんですよ!」
「いやっいいけど僕にそのユーリグさん頂戴!」
「自分で付けたらいーじゃないですか!」
「ちゃんと可愛がるから!理想のユーリグさんを育てて見せるし!!」
「ダメです!強く可愛く逞しく育てたんですから!!」

「…カナタ〜リク〜?そんなおっそろしー話してるなら、夕飯抜くよー。」

 

 

SSその15



「一面の菜の花一面の菜の花一面の菜の花…って詩があった気がしますけどー」
「カナタ?」

 

一面の花。

 

まさに大きなマクドール邸に相応しい庭が、目の前に広がっていた。

「スゴイですね〜」
「今が咲き時だから…」

そう言うとカイルは、ホースで霧状にした水を色とりどりの花達に撒いた。
陽光に水がキラキラと反射して、虹が出来ている。
バックには花、目の前にはカイル。…思わずカイルに見惚れてしまう光景だ。(しかも2人きり)
カナタはにへにへ…もとい。にこにこした。

「この辺りはユーリグさんが植えた花だよ?」
「そうなんですか〜♪」

笑顔のカナタを見て、庭の花が気に入ったのだろうと思ったカイルが、少し笑ってそう教える。

「カイルさんが植えたのはあるんですか??」
「うん、一応…あの辺りかな、」

小さな花を咲かせた花がその辺りに可愛く咲いている。

「お〜♪」
「あっちはクラハさんと、ケイさんが植えた所」
「わ〜☆…涼しげに見えますけど、アレニンジン畑ですよね…」
「? リンゴとかみかんの木もあるよ…?」
「家庭菜園ですね♪」

フフフ☆と和やかに笑ったところ、ふと何かの花にカナタは触れた。

「わ?」

振り返ってみれば…――――巨大で真っ赤な花が大きく口を開けていた。

「…カイルさん、この花は?」
「え?それはユーリグさんが害虫避けにって植えた花だけど…」

害虫の意味が違う。

本能的にそう察知した瞬間、その花は襲い掛かってきた。
こう、ガブリ!と。

「ギャーー!!;」
「カナタ!?;」

食虫花なのになんで!?と慌てるカイルと、もがくカナタ。

「ギャーー!!ユーリグさんが!ユーリグさんにー!!;」

 

こーろーさーれーるぅ〜〜!

 

 

 

「――――――――ハッ!!;」

そこでカナタは目を覚ました。目の前にあるのは、見慣れた部屋の天井だ。

「ゆ…夢でしたか!!;そうですよね!夢でよかったですーー!!;」
「…カナタ〜〜〜なんで、ユーリグさんの名前連呼してるの〜〜〜…?」

どんどろどん…と今にも祟り殺しそうな目のリク君と、朝からうるさいよー!?というハズミ君の声を聞き、心底カナタは安堵したと言う…。