その31
マクドール家では、各自に個室が与えられている。
デュナン家では考えられない家の広さである。
それはさておくとして、…それぞれの部屋には、各自の個性が出るものだ。
基本的には新居の部屋の家具は、本人の意向も取り入れられているし、趣味によって配置や持ち物も当然違う。その中で、カイルの部屋である。
――元々、カイルの私物は少ない。
若気の至り(?)で、動物写真集は書斎に山とあったが、自分で図書館へ行くようになってからはその増加は収まったし、実際にマオ嬢が家族になってからは購入することも減った。(…皆無でないのはご愛嬌だ)
これは兄弟全体にも言えることだ。そう、マクドール兄弟は総じて物欲に乏しい。その為に私物が増えない。そんなカイルの部屋は、私物は少ないものの、家族や人から貰った贈り物を大事に飾ってある、どことなく柔らかな雰囲気の部屋である。
…いや、あったというべきだろうか?
特に前提条件が変わった訳ではないものの―――物が増えた。ゲームセンターでとった景品のぬいぐるみ、小物、観葉植物、etc…
なんということでしょうな、逆ビフォアーアフターだ。
多少物が増えたことにより、なんだかんだで賑やかな雰囲気の部屋になってしまっていたりする。そんな訳で…
「………一緒に来てもらってすみません;」
「いえ、いいんですよ?カイルさんは、ええ…カイルさんは」
「可愛い物が増えて良かったね?」にこにこ笑顔のユーリグさんと、ほわほわ笑いのルレンさん(に頭を撫でられつつ)と仲良く3人、新しく戸棚を買いに出かけるのだった…。
その32
「これ、良かったら…」
と、カイルはちょっとしたお土産を少年に手渡した。
――勿論カナタは、狂喜乱舞した。「ありがとうございますーvvv一生大事にしますねっ!?」
「あの、紅茶のパックだから…;(出来れば飲んで欲しいんだけど…)」なんだかんだで、お隣さんからは良く物をもらっているので、そのお返しにと買い物の途中でカイルが購入したのだ。
「好きなのかどうかわからなかったから、少ないんだけど…」
「はいっ!わかりました!僕1人でじっくり味わって飲みますね!!」
「え、あれ?;」皆で飲んで欲しいというカイルの気持ちは、カナタの手で握りつぶされた。
愛故の暴挙である。
<そんなデュナン家。>
「カイルさんからもらった紅茶の…!確かに美味しいんです!でも出来るだけ長く多く味わいたいという僕のこの気持ち!どうすればいいかと考えた結果!ミルクティーを大量に作って冷蔵庫に入れておけばいいと思ったんです!―――――だから、我が家の冷蔵庫から牛乳が消えました。」
牛乳強奪犯が自供した。
「ふざけんなーッ!!牛乳だって安かないんだよ!?」
「ていうかカナタだけズルくないっ!?ねえ!?」
「明日の分の牛乳もないっ!?;」
「ええいっ!黙れですー!僕の愛の為に些細な犠牲はスルーしてください!」「――まあこれだけあるなら、全員で飲めますよね。」
「だよな。つかあんだけ薄めりゃ元の味分かんなくねぇか?」
「…後でお礼を言っておかなければ。」しかし騒ぎの片隅では、さりげなくミルクティーが消費されていた。
その33
「el aty ria fairytale cotton os di as eer tel ttil♪」
ふと、童謡のような歌をルレンさんが口ずさんでいた。
どことなく英語のようにも聞こえる言語だ。「di a my rre merry maid cotton os di as go del ttil♪」
ご機嫌に歌うルレンさんの姿に、リビングにいた他の兄弟らもほのぼのした気持ちになる。
………しかし、そう長くもない歌の途中に日本語が入り、「おや?」と何人かが邦楽なのかと疑問を抱いた。「………?」
「?」何の歌なのかとカイルがユーリグさんに視線で問うと、ユーリグさんもわからずに首を傾げた。
「…ふむ、」
「el a ty ria fairytale cotton os di as daeh dae dym♪」
「――英語の歌詞が逆さまに歌われてるんじゃないか?」
「di a my rre merry maid cotton os di as sllad ey eym♪」
「「……………」」
――My dead head said,"So fairytale,"
――My eye balls said,"So merry maid."
………。
「ルレンさん、その歌どこでお知りになりましたか?(にっこり)」
「えっと?」
言わずもがな犯人はカナタだった。(MDをチェックすると、バックコーラスで可愛らしくも猟奇的な歌詞も流れており、カナタは説教のフルコースを味わう羽目になったとか…)
その34
「…ねぇ、なんでカナタあんなとこに転がってるの?;」
「なんかゲームの配信が昨日で終わってたとかなんとかって言ってたよ?;」
「高がゲームっしょ、はいはい邪魔だから通路に転がってんじゃないよー」
「高がゲームされどゲームですよっ!高校生男子としてのたしなみがハズミさんにはわかんないんですねっ!?ちきしょーッこうしてやりますーー!!(怒)」
「わッこん馬鹿たれ!!;」
「「あ;」」カナタにタコのごとく足にしがみつかれたハズミ君は見事に転倒した…。
そんなデュナン家の日常である。(…作者の某モンスターゲームのコース配信を取り逃がしたこととは何の関係もない。>嘘)
その35(微妙に上から続いているのか…デュナン家末っ子ゲーム事情。)
「ついに…!ついに完成しましたよっ!カイルさんに捧げる為の色違いイーブイ部隊!!」
「カナタいいからもう寝てよ…;」
「もうさ、なんでそんなやりこむわけ?クリアしてんでしょ?」
「男のロマンですよ!」
「「いいから寝てよ」」思い出したように気に入ったゲームをやり直す末っ子に同室兄弟の被害は甚大だ。