| † 「さぁて皆さん〜!ここらでひとつ、ゲームをしませんか?親交を深める為に!!」
やり遂げた顔のユーリグと、何故かアゴではなく左頬に湿布を貼ったリクが泣きながら戻って来た所で、カナタが再び立ち上がった。
「ゲーム?どんな?」
「クイズです。僕達兄弟に関するコトを出題しますので、マクドールさん方に答えてもらうんです〜あ、もちろんトップの方には賞品もありますよ〜☆」
カナタが、隠し持っていたノートを取り出してぱたぱたとはためかせた。
「賞品?いつそんなの用意してたのさ」
「なんなの?賞品て」
「指名制絶対服従券です〜!七人の中から好きな一人を選んでなんでも命令できます〜!」
「はぁ!?」
「何それ、聞いてないよ!?」
「えーだって他に考えつかなかったんですもんー。あ、因みに持続性のあるものに関しては最長一ヶ月で」
カナタの独断で用意された景品に、兄達は一斉にブーイングを始める。
が、意外な事にマクドール兄弟は景品に食い付いてきた。
「……例えばだけど、それを使えば…そこの変態にウチの人間の半径三メートル以内に立ち入らないように、とか、命令出来るんですね?……例えばですけど。」
「日替わりで三時のオーダーが出来る、とか」
「いいね、毎日違う種類のお饅頭持ってきてもらうの」
「はい〜、なんでもおっけ〜ですよー!!」
好感触に気を良くしたカナタは、にこにこと大風呂敷を広げてみせる。
「……僕らには何にも旨味ないんですか〜?」
「だって、ウチの兄弟の問題しか作れませんもん。
まさかマクドールさん方に問題と景品せびるわけにもいかないですよ〜?」
ピンポーン♪
カナタが肩をすくめたその時。
インターホンがタイミングよく鳴った。
「あれ、お客さん?」
「宅配便かなにかじゃない?」
「新聞の勧誘なら僕が断ります!」
「はいはい……あ。」
モニタを覗いたユーリグが、妙な声を上げる。
「?ユーリグさん、どうしました?」
「……いえ……行ってきます……」
眉根を寄せたまま、ユーリグは玄関へと出ていった。
……何故か全員が、沈黙したまま玄関の方向を見つめて動かない。
ドアの開く音、誰かが話す声……
ばちん!!
……先ほど、廊下で聞こえたのとよく似た音。
(なんか殴られた音した!殴られた音した!!)
今度はリクも合わせた七人全員が、玄関先で起こったであろう出来事に肩をすくませる。
続けてドアの閉まる音、足音……
やがて戸口からは、一人の胡散臭い風体の男が現れた。
「はっはっは!やぁ可愛い従兄弟達!息災かな?」
『ロウ(さん)!!』
男がこれまた胡散臭い挨拶をする。
だが、マクドール兄弟はいぶかしむ所か、皆嬉しそうに声を上げた。
とととっ、ぽふっ!
中でもルレンは、立ち上がったかと思うとまっすぐ男の腕の中に飛び込んでいった。
「久しぶり!体の具合はどう?花粉は治まった?風邪ひいてない?」
「ん〜、相変わらずお前はちっちゃくて可愛いね。お陰様で、最近はまずまずだよ。……それよりすまなかったな、何にも手伝ってやれなくて」
「ううん、いいんだ。皆居るし、こういう時位、僕も働かないと」
男は、飛び付いてきたルレンをいとおしげに抱きしめ、黒髪に頬をすりよせる。
「誰なんですかあのシッポ頭さんはー!!」
「ちょっ、ハズミ見ました!?ルレンさんから抱きつきましたよ今!!」
「……いや見たけど……理不尽も感じるけどなんで僕に振るのさ……」
朝から、うつむいておろおろしているような姿しか見ていないルレンの大胆な行動に、隣家兄弟は騒然となる。
「…………従兄弟のロウウさんです……ッ……!」
額に青筋を浮かべたユーリグが、紙箱を抱えて戻ってくる。
……既にユーリグの鉄拳を二度くらっているリク、二度目の前で見ているハズミはやたら過敏になっており、ソファーの後ろでがたがた震えている。
「……ロウ?ほっぺた腫れてる?」
そんなギャラリーの事など気にした様子もなく、ルレンは男――ロウウの、僅かに赤く腫れた頬に指を寄せる。
「ああ、今玄関でおいたをしたらユーリグに叱られてな?」
「待ってて、湿布あるから……」
身を翻そうとしたルレンを、ロウウが抱き寄せて引き止める。
「いや、すぐひくさ、これくらいなら」
「本当に?」
「もちろん。心配するんじゃないよ」
「………うん」
優しく諭すように告げるロウウに、ルレンは瞳を細めて頷いた。
「……なんか従兄弟同士の空気じゃない気がするんですけど」
「ルレンはね〜、小さい頃からロウが好きでね?」
『え゛っ!?』
ケイがさらりと口にした一言に、五つ子がぎょっと目を剥く。
「僕とルレン、それにクラハは、ついこの間までロウの家に世話になっていたんだ」
「引越しから約二週間……久しぶりだからな」
ユウとクラハが、感慨深げにうんうんと頷く。
「だからって、何もあんなにぎゅうぎゅう抱きしめなくても……!」
ユーリグだけは、ロウウから離れようとしないルレンの姿に、眉間の皺が深くなるばかりだ。
「ユーリグも抱きつかれたのじゃないのか?」
「抱きつかれましたよ!だからほっぺた張っちゃったんですよ……!」
ユウの問いに、ユーリグは思わず頬を膨らませる。
「でも手加減してくれたろ?優しい子だからねぇ、ユーリグは」
「ひゃあぁぁ!!」
いつの間にか後ろにまわりこんでいたロウウが、ユーリグを抱き寄せると、不意を突かれたユーリグが悲鳴を上げた。
「この……ッ、調子に乗らないで下さいッ!!」
顔を真っ赤にしたユーリグが、体を捻りざま、本日二度目のアッパーを放つ。
が、ロウウが小さく首を傾げると、ユーリグの拳はその横を敢えなく素通りしてしまった。
「ほら、手加減してくれる」
「〜〜ッ……!」
悠然と笑みを湛えるロウウにユーリグの眉間の皺がますます深くなる。
「はは、これ以上はまたビンタだな。……所でユウ」
「うん?」
「新しい家ではおサルを飼うことにしたのか?」
くるりと隣家の兄弟を見遣ったロウウは笑顔のままそう宣った。
『…………!!』
瞬間、五つ子の負けん気に火がついた。
「初対面でサル呼ばわりされましたー!?」
「そっちこそ何だよ!!」
「ユーリグさんに殴られてたくせにー!!」
「後から来て失礼なんじゃないですか!?」
「そーだよそーだよ!まず挨拶からでしょー!?」
「……でもこの家でなら飼われてもいいかも」
『……誰だー今問題発言したのー!!』
「………今反論したヤツは自覚があるってコトだよな?」
叫ぶ五つ子に、当のロウウは涼しい顔である。
「ロウ〜、こちらお隣の子達」
「今日はわざわざ歓迎会を開いてくれたんですよ」
見かねたケイとカイルが、間に入る。
「歓迎会って……ココでか?」
「………いいじゃないですか別に」
きょとんとするロウウの後ろで、ユーリグがむすっと呟いた。
「まあいいさ。……僕はロウウ。この子達の従兄弟にあたる。よろしくな、お隣さん達?」
「従兄弟の人ですか!正直マクドールさんらに何人従兄弟がいるのか気になったりしたりもしますけど!僕はカナタです!ユーリグさん公認のカイルさんの恋人です!!」
対抗意識が出たらしいカナタは、一歩前に進みでると、胸を張って言い放つ。
そのカナタを、ロウウは一瞥した後カイルに向き直った。
「……カイル。別に僕はお前さんの好みにケチつけようとは思わないけどね?相手はもう少し慎重に選んだ方が…」
「うわーん間接的にバカにされましたー!!」
「あなたこそ何しに来たんですか!?用がないならとっとと帰って下さい!!」
カナタの恋人発言をも流し、今度はユーリグが攻撃に出る。
「え、ロウ、もう帰っちゃうの?」
が、その攻撃に顔色を変えたのは、ロウウではなくルレンだった。
「……やっぱり、忙しいの……?」
「いや、明日一日休みだよ。今日はのんびりしようと思って」
「なら泊まって行けばいい」
「な……っ、ユウ兄さん!?」
長男の口から飛び出した発言に、ユーリグがぎょっと目をむいた。
「いいのか?そんな事言われると、おにーさん喜んで泊まってっちゃうけど」
「うん、泊まってって。……いいでしょ?皆」
「ああ」
「うん」
「はい」
「賛成!」
同意を求めるルレンに、ユーリグ以外はあっさり首を縦に振る。
「ユーリグさん!!反対しなくていいんですか!?」
「このままじゃ、あのシッポ頭本気で泊まって行きますよ!?」
ユーリグサイドに集まった五つ子達が、なんとか反撃してもらおうと必死にたきつける。
「う……うん……そうなんだけど……ほら、ルレン兄さんのあの嬉しそうな顔……あれ見ちゃうと……」
『……あ……』
花の綻ぶような笑顔を浮かべたルレンに、一同の肩ががくりと落ちた。
「ユーウー♪お前さんは今日も相変わらず美人だねぇ。クラハー♪すべすべ肌は健在かな?ケイ〜久しぶり、いつも健康そうでなによりだ。カイルはまた綺麗になってきたね?ヒロ、学校はどうだ?何か困ったら僕に言いなさい?」
その間にも、ロウウは軽い調子で、従兄弟一人一人の顔をじっくりと見て回る。
「慣れない環境で苦労もあるんじゃないかと思ったんだが……杞憂だったようだな」
「大丈夫だよー、快適だよ?」
「父さんが作ってくれた家だもの、困り事なんかないよ?」
「それ聞いたら、伯父上泣いて喜ぶぞ?……さて、歓迎会を邪魔して悪かったな。続けてくれ」
一頻りコミュニケーションをとって気がすんだのか、ロウウは一同の輪から外れると、一人ソファに座り込んだ。
「ああそうだ、クイズするんだったね。……じゃあカナタ、続けて?」
「……非常にやりづらい空気になってますけど……カイルさんがそうおっしゃるなら気を取り直して……兄弟対抗!突撃隣の個人情報!!です〜!」
「なんだそのいかがわしいコールは!!」
「カナタ、一体どんな問題作ったんですか〜?」
仕切りなおすカナタに、兄弟達は不平と不安が入り混じった声を上げる。
「それは始まってからのお楽しみです☆それでは早速第一問!!
我が家の長男、アオイさんの身長はずばりいくつでしょう!!」
問題が読み上げられると、マクドール兄弟の視線が一斉にアオイに集まる
「………俺か?」
「はい、我が家の人間はおくちにチャック☆ですよー!」
「えーと、わりと高いですよね」
「うーんと、170代だよね」
「70……2?」
「77!!」
「……ユウが170だろう?5センチ差で175」
「はいっ、175が正解です〜!今のはどなたが……」
すぱりと正解が出た方に向けた、カナタの笑顔が固まる。
……その視線の先には、ソファーにふんぞり返ったロウウ。
「ロウだよー。すごいね!目測でわかっちゃうんだー!」
「あれ?当たり?はっはっは、すまんな!適当に言ってみただけなんだが」
「……ま、まあまずは軽くジャブですよ……!
続きまして第二問!!ユイさんの乗ってるバイクのメーカーはっ!?」
「Kawasemi」
今度は間髪いれずに答えるロウウ。
「なんで知ってるんですかー!?」
「や、だってここ来る前に見たし」
「道路側からじゃ見えないハズですー!」
「この家の敷地、ぐるっと一周したから。どんな家になったのかと思って。」
「あなた人の家で一体何やってるんですかー!?」
「おのれこしゃくなですー!!続いて第三問!新聞配達・レンさんの担当戸数はズバリ!?」
「127……いや、8か」
「……マクドールさんが越して来て128になりました……」
「ハズミさんの左手の握力は?」
「利き腕右?なら53くらい」
「リクさんが一分間に出来る腕たての回数は!」
「全力なら80くらいいくだろ。84」
「ナナトさんの50M走タイムは!」
「瞬発力はありそうだから6秒79」
「ぎゃあああああ!総勝ちされましたー!!ゲームになりませ――ん!!」
「こええ!すげぇ通り越してこええよ!!」
「何この人エスパー!?」
「エスパーというよりはペテン師っぽいよな」
カナタは大袈裟に頭を抱えて絶叫する。
その後ろでデュナン家兄弟が半ば呆れたような表情を浮かべていた。
「む、無効です、無効試合です〜!兄弟対抗なんですから、兄弟じゃないとダメなんです〜!!」
「ロウ、残念だったね。そういえば最初に言ってたね」
「はっはっは!そうだな!……何か貰えるんだったのか?」
「えーと、なんだっけ?お手伝い券?」
「肩叩き券じゃなかったか?」
「あ、おしい、肩叩き券は欲しかったな〜」
「僕、後でやるよ」
「ルレン兄さん♪僕がやりますよ力の限り。」
「……二度と凝ることのない肩になりそうだねェ。……で、ウチからの出題は?」
「いや、うちは何も……」
「ふむ……それじゃあおサル達は盛り上がりに欠けるだろう」
『だから誰がサルだ!!』
ぽつりと呟いた……ように見せかけてその実思いきり聞かせているロウウの発言に、その思惑通りに五つ子が食い付いた。
「ん〜、そうだねえ。僕らも何かゲームとか考えた方がいいのかな?」
「そうですね……何か考えてみましょうか」
マクドール兄弟で一番社交的なケイと、一番生真面目なカイルが顔を寄せあう。
「はっはっは!困った時は僕に頼りなさい可愛い従兄弟達!」
「え、ロウも何か考えてくれるの?」
ロウウの言葉に、ルレンが嬉しそうに振り返った。
「じゃあ、同じ様にクイズがいいだろう。僕が問題をつくる。で、トップの人間に景品をやればいいんだろう?」
「景品……なにか考えてあるのか?」
「いや、特に決めなくても、好きなモノをやればいいだろう」
クラハが尋ねると、ロウウは軽く肩をすくめる。
「好きなモノ?新しい単車とかでも?」
ユイが意地悪そうに笑うが、ロウウはあっさりと首を縦に振った。
「うん、バイクでも車でもかまわないよ」
『!!?』
けろりと放たれたその発言に、五つ子(一部)の目の色が変わる。
「ロウウさん!カイルさんのちっさい時の生写真ください!!生写真ー!!」
「おにいさん!ユーリグさんとケッコンをゼンテーにオツキアイを……!!」
「米!味噌!醤油!!ついでに豆腐と納豆と日本酒!!箱で、ケースで!俵でー!!」
「……なんだ最後の時代がかった発言は……ま、可愛い従兄弟達に直接関わる事は流石に当事者の意思を無視はできないからなあ。……秘蔵写真とか、まる秘エピソード公開くらいなら……」
「したらわかってるんでしょうね……!?」
「あ、米と大豆製品セットは可だ。なんなら煮豆もつけようか」
「マメ――――!!」
「じゃあ今から問題を作る。問題と回答をあらかじめ作っておいて、ルレン辺りに読みあげてもらえばいいだろう?」
一部無駄にテンションの上がっている一同を見回し、ロウウはニヤリと笑った。
「え……と……それでは」
問題と回答が転送された自身の携帯電話を握り、ルレンがおずおずと進み出た。
「……これより、問題を読み上げます。……用意は、いいですか?」
一度大きく息を吸うと、ルレンは肚をくくったのか、柔らかくもしっかりとした口調でデュナン家一同に言った。
『はーい!!』
五つ子が元気に返事を返すと、ルレンはにこりと微笑んだ。
「それでは、第一問。
過去にユウが手掛けた絵で最大の物はどのくらいの大きさだった?」
「……油絵って結構大きいよね」
「じゃあ一メートルくらい?」
授業で立ち入る美術室を思い出しながら、それぞれが適当な数字を述べていく。
「正解は幅6メートル、高さ2メートルです」
『でかッ!!』
「……文化祭の時のウォールペイントだ」
当のユウは、懐かしいのだろう、目を細めて頷いた。
「第二問。……えと、僕、ルレンが生まれて初めて歌った歌は?」
自分の問題で若干照れくさいのか、ルレンが顔を赤らめる。
「それならきっと童謡やCMソングの類ですよね!」
「実は親御さんが演歌好きで覚えちゃったとか!」
「クラシックとかオペラとかだったらかっこいいですよね〜」
「……これ、僕は全然覚えてないんだけど……自作曲、だそうです」
『じさく!?』
「いや、伯父上がな?ルレンは自分で歌作って歌ってるー、ってさんざ言ってたの未だに覚えてるんだよ、僕。まだ喋るか喋らないかって頃にだぞ?」
ソファにそっくりかえったロウウが口を挟む。
「……赤ちゃんって喋るより先に歌うって言うのは……聞いたことありますけどね……」
フォローするかのように、そっとカイルが一言添えた。
「第三問、クラハが過去に作った飲食系の記録を述べよ」
「えっ、わんこそば200杯オーバーとか!?」
「1キロハンバーグ完食とか!?」
全員の視線が、一斉にクラハに注がれる。
「惜しいな、わんこ蕎麦なら300杯、ハンバーグは2キロだ」
「規模が大きいのは食べ放題店出入り禁止5軒、でした」
「全部向こう側が泣きながら土下座してきたんだよねー?」
何故か、ルレンとケイは誇らしげである。
「わ、わんこそば300杯っていくら……?」
「ハンバーグ二キロって……ウチのハンバーグ何回分……?」
「二人とも……そこはひっかかる所じゃないよ……」
「第四問、ユーリグが高校最後に作ったお菓子は?」
「これは当てるよ!……ん〜、あれだ、シュークリームのタワー!!」
「カップ系じゃないですか?クレームブリュレとか」
自分有利とみたハズミとレンが身を乗り出す。
「え〜?お菓子……白玉とか?」
「やっぱりケーキなんじゃないですか?」
他の兄弟達も、自信がないながら答えを上げていく。
「正解はホットケーキでした」
「ホットケーキ!?そんな庶民的な!!」
「あ、そうか粉の分量とかが、ユーリグさんオリジナルの配合に……」
「台所片付けてたら、賞味期限ギリギリのホットケーキミックスみつけちゃったんですよね」
「第五問、ケイのマイベスト饅頭メーカートップ3。わがしや本舗、黒白堂、あとひとつは?」
「これは僕が当てます!……ええと、うしゃぎまんじゅうのうしゃぎや!!」
「総合菓子メーカーしゃろるーし!!」
再びレンとハズミが、威勢良く答える。
他の兄弟達は、流石に浮かぶ名前もなかったようで口を閉ざしている。
と、これ以上回答は出ないと判断したルレンが正解を発表した。
「正解はユーリグでした」
『しまったァァ!サービス問題落としたァァ!!』
……仲良し兄弟の中に製菓のプロがいるなら、当然の答えではある。
「因みにうしゃぎやは4位で、しゃろるーしは7位かな〜」
惜しかったねぇ、と、ケイがうなだれる二人の背中をぽんぽんと叩いた。
……その少し後ろでは、リクが「答えが『ユーリグさん』の問題に答えられなかったあぁぁぁ!!」と一人絶叫していた。
「第六問、カイルが所有する動物関係の書籍の数は?」
「きっと100冊はありますね!場合によっては200とかかも!」
カナタがすぱっ、と手を挙げて答える。
「正解は……実家に500冊程……また増えたねぇ、カイル?」
正解を読み上げたルレンが、確かめるようにカイルを振り返る。
「!!!!!あ、待っ…〜〜〜〜ゃぁぁ…っ……」
蔵書数をバラされたのが恥ずかしかったのか、カイルが真っ赤になった顔を両の手で覆い隠した。
((……ああ、カナタはこの人のこーゆー色気にヤられたんだ……))
妙に艶っぽいカイルの仕草に、デュナン家の面々はムダに納得する。
……カナタ本人があれだけ「一目ぼれですー!」と叫んでいたにも関わらず、だ。
「第七問、ヒロの通学カバンの外側左のポケットには何が入っている?」
「ハンカチ!」
「ティッシュ!」
「鍵!」
「……飴玉だよね?」
「うん」
ルレンが振り返って確認すると、ヒロはこくんと大きく頷いた。
「なんだなんだ、正解率0%かい」
最後の問題が終わった所で、ロウウがやれやれと溜め息をついた。
「無茶いうな!当てられるかあんなコアな問題ばっかり!」
「ケイの問題はわかっただろう。せっかくサービス問題作ったのに」
食いつくハズミを、ロウウはあっさりいなす。
『……ふ……不覚です……ッ!』
「なんでレンさんと一緒にリクさんまで落ち込んでるんですか」
「……というか、なんでロウさん、僕が何作ったとか、ヒロさんの鞄の中身まで知ってるんですか……!」
「僕達居候組が知っている事は、まず知ってると思っていい」
ジト目で問うユーリグに答えたのはロウウではなくユウである。
「あ、ヒロの鞄の事、ロウに言ったの僕だ」
「うん、別にいいんじゃない?」
その隣では、ルレンとヒロが、呑気に顔を見合わせていた。
「とにかく、正解がゼロじゃあ、完全にドローだな。従って賞品はナシ!!残念だったなおサル達!!」
『だからだれがサルだァ!!』
「……マクドールさん方の歓迎会だったよな?コレ」
「ああ」
「……完全にウチの愚弟共とあのシッポ頭だけで楽しんでるよな?」
「ユイも混ざってきたらいい」
盛り上がる(?)場を尻目に、アオイとユイはのんびりと料理や菓子をつつくのであった。
本日の試合結果
従兄殿のやや一人勝ち
賞品:次男・愛の抱擁
副賞:四男・威嚇ビンタ(片道)
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