「……海」
「うみのひー」
「うむ」
「海の日――!」

『というわけで行ってきます!』


 四人が元気よく出て行ったのは朝の内だった。

「ユーリグさん、ユウさん達何処へ行くんですか?」
 そんな四人を見送ったカイルが、ふとユーリグを振り返る。
「はい、ええと…………あれ?」
「……聞いてない、ですか?」
「……あれだけ海の日って言ってましたから……多分海なんだと思うんですけど……」
「……メールしてみますか?」


 その後、四人それぞれにメールは送ってみたものの、返ってきたのはユウから海の風景の写メがいくつか(本文なし)と、クラハからの『美味い』という、カレーライスの写真がついたメールが一通だけであった。

 

 

『ただいまー!』



 四人が帰宅したのは、ちょうど夕飯時だった。

「じゃあ、やっぱり海に行ってたんですね?」
「うん」
「ごめんね、メール返せなくて」
 出ていった時同様、白い頬のルレンと、浅く日焼けしたケイがこくこく頷く。
「何も問題無かったのなら別にいいんですよ。楽しかったですか?」
『楽しかった!』
 ユーリグの問いに、ルレンとケイは綺麗に声をハモらせる。
「今日はよく晴れてたから、遠くまでよく見渡せて……」
「昨日まで波が荒かったから、視界はちょっと悪かっんだけど」
「意外と数が多くてな。チェックするのに少し時間がかかって……」
「凪いじゃうと全然進まなくてさぁ!困っちゃったよー」
「午後から風が少し出てきて……なんというか、砂だらけに」
「でも魚は結構種類見れた!流されてきたのかなぁ?」
「送ったメールのカレー、あれが数ある中で一番美味かった」
「風が出てきたら途端に楽しくなっちゃって!午後はあっという間だったー」

『???』

 口々に感想を述べるのは良いが、誰一人発言が噛み合わない。

 ユーリグ、カイル、ヒロは首を傾げる。


「皆さん一緒に……海に行ったんですよね?」
『行ったよ?』
「皆さんで…遊んでたわけでは……?」
『…………』

 落ちる沈黙。
 海に行った四人は、どうしようと互いに顔を見合わせている。

「ええっ、みんなで行ったのに別々の事してたの!?」
「……僕は……海の日だから、海の絵を描こうと思って……」
「僕は、海の日だから潜りに行こうと思って」
「せっかくの海の日だ、海の家で何か特別メニューが出ていないかと思ってな」
「海の日だから……前からちょっと興味あったウィンドサーフィンを……」


「……要するに、個人で立てていた計画がたまたま一致した、と」
『そうですね』

 うだーっ、と脱力する留守番三人組。
「いいなーっ、部活なかったら僕も行きたかった」
「そうですね、皆で行ったら楽しそうですね」
「じゃあ、今度は皆で行こうね」
「今度はちゃんと皆で遊ぼうね〜」


 マクドール兄弟全員で海、などという事になれば、それはそれで大問題なのだが、それはまた別の話である。

 

 了


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