一月。

 松ノ内も明け、学校も始まり、デュナン家はいつもどおりの生活に戻っていた。

「毎年必ずニュースで流れますよね、これ」
「うわぁ、半袖短パンの人とかいるよ、寒そう〜!」
夕方のニュースでは、各地域で行われる行事がとりあげられていた。

 寺院のイベントで、決められた位置から走り、最初にゴールした人間に福が授けられる(?)ようだ。

「今年の優勝は大学の短距離選手だって。ハズミ出たらいいのに」
 ナナトが無邪気に台所を振り返る。
「ヤだよ、めんどくさい」
「あはは、この寒い時期にねぇ〜」
「最初にくじ引きあるみたいだから、足が速いだけじゃダメですね」
 ハズミ始め、五つ子上から三人はさっぱり興味がないらしく、返事も実に適当である。


 が。

「あ、一番になると米俵と酒樽もらえるんですね」
 と、カナタが口に出した途端。

「酒!?」
「米!?」
「うわ両方欲しい!!」
 三人は、揃ってテレビ画面にくぎづけになる。
「ちょっとハズミ!来年本気で考えませんか!?」
「大丈夫!一年かけてトレーニングすれば!」
「酒と米の為なら考えないでもない!つーか酒樽と米俵ってどのくらいになるの!?」
「えっと、確か米俵は60キロだったかと」
「60!?マジで!?…うっわほっし〜……!」
「お酒はさ、とっとけるからさ!獲ったら数年寝かしてさ!20になったら二人で呑もうよ!」
「いや素敵……!本気で考えようか、本当に!!」

「いや〜…凄まじい物欲ですね」
「……ウチの家計の事を考えてる人上から三人、なんだろうね……」

 酒や米にそこまでの執着を持たないカナタとナナトをよそに、三人はえんえん盛り上がるのだった……

++了++


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